地域だけではない、大学だけでもない、持続可能な成長をし続けるための総合診療ニューラルネットワーク

NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

地域枠学校推薦型選抜・緊急医師確保対策枠学校推薦型選抜合格発表2022.2.14

オンライン高校生地域医療体験実習2021

しまね総合診療センター長 白石吉彦

 現在島根大学医学部では、地域枠、緊急医師県内定着枠が併せて約20人枠あります。本来受験前に地域医療の現場で体験実習を1週間行い、市町村長や島根県での面接を経て、小論文、センター試験に臨みます。昨年度はコロナ禍のために体験実習は行われませんでした。今年度は新しい試みとして、しまね総合診療センターが主体となって各医療機関と協力しながら、オンラインで2日間体験実習を行いました。計51名の受験希望者に対し、島根県内の11医療機関で受け入れをしていただきました。

 各医療機関の担当医師、担当事務をSlack®で登録し、準備段階からそれぞれのプログラム、工夫や不安などを共有しながら、インターネット上で活発なディスカッションを行いました。1医療機関あたり、受け入れは4-5名で、プログラムに関してはそれぞれの医療機関でいろいろな工夫をしていただきました。主には2パターンあり、患者さんの同意を得たうえで、事前に外来や往診、病棟での様子をビデオ撮りしたものを一緒に見る、もう一つは外来診療や、往診風景をライブ中継していただきました。ライブの場合は、別の医師がチャット上で解説を入れながら、学生さんの感想や意見を引き出すようなやり取りを行いました。また、医療機関の事務長などからは地域の説明や想いを語ってもらい、コメディカルとのディスカッションでは「こんな総合診療医は嫌だ!」というようなセッションを設けていただきました。住民さんとの対談などを盛り込み、地域によっては健康教室や認知症カフェといった地域での活動にもオンラインで参加してもらいました。

 オンラインではあるものの高校生たちは地域医療の現場に参加することで、お互いの発言にも刺激を受けあいながら、2日間で明らかに地域医療への想いを育てていく様子が感じられました。ほとんどの医療機関側で「全員合格して、自分たちの医療機関で働いてほしい」というような感想が聞かれました。初めての試みで、入学試験に絡むという繊細な部分がありましたが、全く島根の地域医療の現場を知らずに受験することを考えると、必須の試みであったと感じています。

体験実習を提供するためにそれぞれの医療機関内でも新たなチームワークが生まれ、今回の県内受け入れ医療機関の医師・事務が準備や振り返りの会を通して、一つの目標に向かって取り組む一体感が非常に良かったという感想が寄せられました。一方で各医療機関の事務方負担が大きく、さらなる工夫が必要と感じています。

 2022.2.14地域枠学校推薦型選抜・緊急医師確保対策枠学校推薦型選抜合格発表でした。地域枠9名、緊急医師確保枠8名(一般5名、県内3名)合格でした。合格おめでとうございます。

 彼ら彼女らの入学後もしっかりとフォローし、島根県で夢と希望をもって医師と働けるようにサポートしつつ、各地域へ還元できるように努めたいと思います。ご協力いただきました島根県内の医療機関の皆様、大変ありがとうございました。