地域だけではない、大学だけでもない、持続可能な成長をし続けるための総合診療ニューラルネットワーク

NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

診断エラーの理由としての認知バイアスの研究が発表されました

みなさまこんにちわ。総合診療医は臨床・研究・教育・マネージメントで輝いていたい!!という情熱のもと、細々と総合診療医による総合診療領域の研究を進めております。
今回も、一つの例をご紹介です。和足先生ら島根大学の先生が中心となって、医師の認知バイアスと状況要因が診断エラーに寄与するかについて調べたエラー省察論文がPublishされました。

▼こちらから無料でダウンロードできます
https://www.mdpi.com/1660-4601/19/8/4645/htm

やはり医師の診断エラーの分析は他者がやっても客観的評価は困難であり、エラーに遭遇した当事者がその時の状況や心理的背景も含めて省察して分析するしかないとの考えから着想に至りました。最も鮮明に思い出すことができるかつ、詳細に記載できる診断エラー症例をその当事者である本人が丁寧に省察した結果を集めた横断研究です。調査結果は医師人生で最も鮮明に思い出せるエラー症例はERの場所や夜間勤務の現場が多く、そのエラー症例には平均3.08個の認知バイアスが関与し、特に多いのはアンカリング・バイアス(60.0%)、早期閉鎖(58.5%)、利用可用性バイアス(46.2%)、ハッスルバイアス(33.1%)でした。特に認知バイアスに対する分析では、ERでの診療は認知バイアスを特に誘発しやすいことがわかりました(aOR3.96、95%CI1.16-13.6、p値=0.028)、一方で研修医の時に遭遇した診断エラー症例の省察では認知バイアスよりも知識や経験不足の方が原因であったと自己省察する傾向があるようでした。また追加で調査した重要な結果に、医師(n=126)の率直な日頃の感覚としての診断エラー遭遇率は月に数回程度遭遇しているが最も多く(31.8%)、1週間に数回程度遭遇(26.2%)、ほぼ毎日(11.1%)、週に1回程度(10.3%)、月に1回遭遇(7.9%)でした。もちろんこれは、外来の患者数やセッティングが違うので参考程度になります。全国のご参加いただいた先生方本当にありがとうございました!!