地域だけではない、大学だけでもない、持続可能な成長をし続けるための総合診療ニューラルネットワーク

NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

2年連続 病院長賞しました!

みなさまこんにちわ、和足です。

タイトルの通り、当センターの英語論文の業績が高く評価されて病院長賞をいただいてしまいました。

これまで我々島根の総合診療医は出身大学や病院間の垣根もなく色々なことに挑戦してきました。

結果として地域だけでない大学だけでもない教育の連鎖により優良教育実践表彰を3年連続でいただいたり、このNEURAL GP networkのシステムを評価されて2022年にはGood design賞をいただいたりなど多数の受賞がありますが、実はこの記事を書いている当事者は大学病院において研究面で評価されたことが一番うれしく思っています。

その大きな理由の一つは、これまで我が国の総合診療は学問としての貢献が乏しいとされていた事です。

先行研究(Komagamine J and Yabuki T)で2010-2012年のプライマリケア学会に採択された演題の論文化率を調べたものがあります。結果として、わずか3.8%しかちゃんと論文として報告されていない事がわかっていました(1)。これはかなり他の診療科よりも低く、当時の自分の記憶でも我々の一番よくない点は、終始活動報告だったり何となく発表しているようなものが多い事に、世界標準とのズレと違和感を感じたことがありました。

他大学の仲間や、国際的なメンターと交流すればするほど理解したことに、自分達の総合診療科が学問(医学)であるのであれば、それは学問として、しっかりと研究として発展させなければならない、国外のみならず、国内でも誰からも理解されないだろうと考えるに至りました。

その後、自分達が調査した結果では、2009年を境に日本の総合診療医の発表したPubMed掲載英語論文はグングンと増えていきます。(2, 3)  

特に、総合診療医が発表した原著論文の伸びは凄まじく(Figure 1)、2009年以前のデータではほとんど発表されてきていなかった事から、この10年間で全国の有志が頑張って発表し続けてきたことが見える化されました。

そして世界的潮流と比較した場合の揺るがない持論ですが、今後は我が国でも医療の質・患者安全、医療サービス、医学教育、公衆衛生領域などの領域が、俯瞰的な視点を持つ総合診療医と親和性が高く、確実に伸びていくと思っています(Figure 2)。

このように我が国のデータを用いた研究成果や若手医師達の研究に対する姿勢は我が国の総合診療を確実に推進させると信じています。そして、僕たち島根の総合診療医センターが我が国の中でその一躍を担えたこと、そしてこれからも担っていくことをとても嬉しく思っています。 

(1) Komagamine J, Yabuki T. Full-text publication rate of abstracts presented at the Japan Primary Care Association Annual Meetings (2010-2012): a retrospective observational study. BMJ Open. 2018 Jun 22;8(6):e021585. doi: 10.1136/bmjopen-2018-021585. PMID: 29934391; PMCID: PMC6020981.

(2) Watari T, Gupta A. Comparing Japanese University Hospitals’ and Community Healthcare Facilities’ Research Contributions on PubMed. Int J Gen Med. 2023 Mar 15;16:951-960. doi: 10.2147/IJGM.S398413. PMID: 36945702; PMCID: PMC10024878.

(3) Watari T, Nakano Y, Gupta A, Kakehi M, Tokonami A, Tokuda Y. Research Trends and Impact Factor on PubMed Among General Medicine Physicians in Japan: A Cross-Sectional Bibliometric Analysis. Int J Gen Med. 2022 Sep 14;15:7277-7285. doi: 10.2147/IJGM.S378662. PMID: 36133913; PMCID: PMC9483137.