愛知県から来雲!総合診療医は「何でもするけど、裏を返せば何もできない」?
1: 自己紹介となぜ島根に?
愛知県にある藤田医科大学の医学科5年の城内 薫乃(きうち ゆきの)です。
愛知県の地域枠で藤田医科大学に入学しました。将来、地域医療に従事する上で総合診療を将来の専門とすることを視野に入れています。藤田医科大学で受講することができるハワイ医学教育プログラムがあり、そこで島根大学の坂口公太先生によるレクチャーを受けました。そのレクチャーで島根の総合診療の取り組みが面白そうであり、坂口先生に見学について直接連絡し、快く受け入れてくれあっという間に日程も全て決まりました!また、島根県には以前から縁がありました。島根県隠岐島前病院で診療されている白石先生のことは、高校生に医療体験を提供するNPOの活動を私が担当しており知っていました。
私は、さまざまな活動をしていますが、実習を通じ感じる疑問がありました。それは大学での臨床実習で、多くの専門の医師から総合診療医は「何でもするけど、裏を返せば何もできない」と意見を聞くことでした。そのような意見を受けて私の中でもなんとなく総合診療に対してマイナスイメージがありました。
その意見が本当に正しいのか?自分の目で確かめることが今回の訪問の目的でした。
2: 医療現場である江津当直に行きました
今回、島根県済生会江津総合病院で坂口先生の当直に同行させていただきました。江津総合病院は、想像していたよりも大きな病院で、200床程度の中規模病院で当直医師が1人だけということに驚きました。今回の当直中はSpO2低下とめまいで搬送され、坂口先生と病歴聴取や身体診察を実際に経験することができました。病歴を聴取する中で地方での老老介護の現実を感じました。どのように病状を説明し、今後の治療方針を決めていくのかという点について臨床倫理の4原則に基づいて考えていく必要があることを学びました。実際に臨床倫理について考えさせられるケースは初めての経験だったので大変貴重な経験となりました。
3: 最後に一言 これからの展望
今回の訪問で、普段大学病院で実習しているだけでは感じられない医療を体験しました。専門化されている大学病院での医療と、実際に地域で求められている医療には大きな差があり、総合診療というのは限られた医療資源の中で医療を提供する必要がある地域で特に必要とされる存在であることを学びました。そのような環境で医療を行う上で、圧倒的な病歴聴取力と身体診察の力が必要になるだけでなく、患者さんの生活背景や家族構成、経済状況にも気を配りながら治療選択していくことが大切だと知りました。生活背景などをより深く理解できるように、今後は公衆衛生の学習を大切にするとともに、愛知県で提供されている総合診療についての知識が足りていないと実感したため、愛知県での総合診療がどのようなものであるかを見学し、島根県での体験と比較したいと考えています。