地域だけではない、大学だけでもない、持続可能な成長をし続けるための総合診療ニューラルネットワーク

NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

南奈良総合医療センター視察

「南和の医療は南和で守る」

南和とは奈良県南部を指す地域です。

この地域を舞台に、臨床・教育を展開されている天野先生にお会いするために、原田と小田川で伺いました。

写真①:南和医療圏の地図

(南和広域医療企業団 公式HPより)

南和医療圏

奈良県:五條市、吉野町、大淀町、下市町、黒滝村、天川村、野迫川村、十津川村、下北山村、上北山村、川上村、東吉野村

面積:2,346.92km2(奈良県面積の約2/3)

人口:64,993人(奈良県人口の約5%)

高齢化率:41.60%(2020年)

近鉄電車に揺られながら吉野方面に向かうと、飛鳥を過ぎた辺りから景色は変化します。

農村、山間を通る景色は、まるで島根県の木次線に乗っているような感覚です。

目的地最寄の福神駅で降車し、駅舎を出ると目の前に大きな病院がありました。

写真②:病院の外観写真(駅から撮影をしたもの)

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「南奈良総合医療センター」

今回の視察の目的地です。

【目次】

  • 1.南奈良総合医療センター
  • 2.天野雅之先生
  • 3.教育

1.南奈良総合医療センター

南奈良総合医療センターは、奈良県南和地域における公立病院の統合・再編により、急性期・回復期医療を担う病院として、2016年4月に開院した病院です。

南和地域における急性期病院の砦としての役割を担っています。

教育、研修ができる病院として、「総合診療専門研修プログラム」「新・家庭医療専門研修プログラム」「基幹型臨床研修病院」、それぞれの教育体制が整っています。

院内の廊下は患者さんのベッドが2台すれ違える程の幅の広さが確保されており、広々としている点が印象的でした。

2.天野雅之先生

自治医科大学卒で、現在卒後13年目です。総合診療科のみならず、教育研修センターの副センター長も担っておられます。

天野先生はとても紳士的な方で、やわらかく穏やかな雰囲気でした。

研修プログラムの立ち上げ、プログラム稼働後の苦労したこと、良かったことなど教えていただきました。

天野先生ご自身の通常業務内容や教育に費やす時間を直接聞くことができました。教育も業務であることを実感し、教育のための時間確保の必要性を感じました。

3.教育

学生・臨床研修医カンファレンス、専攻医カンファレンスを見学させて頂きました。

いずれも1時間程度開催されていました。

学生・臨床研修医カンファレンス:担当患者さんのフルプレゼンのみならず、「勉強になったこと」、「わからなかったこと・教えてほしかった事」を振り返る機会があり、そこで自身の学びを1段と深められている印象を受けました。参加されている学生さんや臨床研修医が積極的に発言していました。

専攻医カンファレンス:今回はポートフォリオ指導でした。

事例をもとに参加者全員で議論を行いました。学生、臨床研修医、専攻医がいることでそれぞれの視点からの意見が出て興味深かったです。

<編集後記>

天野先生の内省を促す関わりや、振り返りの多さが印象的でした。振り返りが、1人1人に対して個別性の高い細やかな指導につながることを改めて実感する機会となりました。見学中はことあるごとに心理的安全性の高い場だなと感じていましたが、天野先生のお人柄や内省を促すような支持的な関わりが土台となってできている雰囲気なんだなと、納得しました。

お会いした臨床研修医が全員、「この病院が好きです。」と、いきいきとした表情で、過ごされており、素敵な病院だなと感じました。

文責:原田愛子・小田川誠治