地域だけではない、大学だけでもない、持続可能な成長をし続けるための総合診療ニューラルネットワーク

NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

沖縄武者修行2025  報告

島根県浜田市旭診療所医師の邉田健一です。

この度、総合診療医センターの使命である地域住民に安心・安全を届ける優秀な総合診療医養成に向け沖縄県に研修に行かせて頂きました。そこでの学びを共有し、医療現場にこれから還元していきたいと思います!

1日目 3月10日(月)

社会医療法人敬愛会中頭病院

二次救急指定病院/病床数355床/所在地:沖縄県沖縄市

1日目午前は、社会医療法人敬愛会中頭病院を訪問しました。まず朝のモーニングカンファレンスに出席しました。カンファレンスには、当直明けの医師のほか、院内各科の代表医師らが出席し、忙しい朝にもかかわらず総勢20-30名程度程度で新規入院患者の引き継ぎを行なっていました。

まず、初期研修医の先生が、前日夜間に救急入院になった患者のプレゼンテーションを行い、その後各科の医師が診察や鑑別疾患の考え方、初期対応のポイントなどをフィードバックしていました。建設的な意見が飛び交い、時々笑いもあり、そして大変勉強になる場でした。

続いて救急外来とICUを見学しました。救急外来は、年間約8000台(沖縄県内最多)の救急搬送を受け入れており、私が見学している1時間の間にも、重症患者が次々と運び込まれ、絶えずホットラインが鳴り響いている状況でした。

救急指導医と初期研修医、そして看護師や診療看護師が連携しながら、診察から検査、初期治療までが大変スムーズに行われていました。特に驚いたのは、あらゆる重症度の患者に対して、基本的にはすべて初期研修医がファーストタッチを行い、気道管理や検査・処置の指示を一通り行っていたことです。救急指導医の先生に話を聞いてみると、研修医達も最初のころはどのように診療すればわからず戸惑うことが多いそうですが、非常にたくさんの救急症例を自分自身が責任を持って診察し、指導医がその場でフィードバックを行うため、研修を始めて1年経つころには重症例でもある程度初期対応を行うことができるようになるとのことでした。指導熱心なアツい先生方も多く、病院全体で研修医を育てる文化ができており、島根でもそのような体制を実現したいと思いました。

社会医療法人敬愛会なかがみ西病院

地域包括ケア医療機関/病床数94床/所在地:沖縄県沖縄市

また同一法人の運営する、慢性期機能を担うなかがみ西病院にも訪問しました。94床もの地域包括ケア病棟のほか、在宅訪問診療も行っているとのことでした。院内は非常に明るくモダンな雰囲気で、1階にはおしゃれなカフェもありました。カフェには地元の方が多く訪れており、なんとその多くは若い女性でした。設計に携わった岡本事務部長にお話を伺うと、地域の皆さんにもっと病院を身近に感じてほしいとのことで、大手チェーン店に掛け合って院内カフェをオープンしたそうです。そのほかにも、院内コンサートの開催やおしゃれなコワーキングスペースなど、院内の至る所に、患者もスタッフも明るく過ごせるような工夫がいくつも施されており、診療以外の面でも大変学びになりました。病院長の石原医師に話を伺ったところ、予期せぬ疾病で体調が悪化したり、後遺症を負ってしまった場合でも、安心して元の生活に戻ることができるよう、急性期から慢性期まで切れ目ないケアを提供することが大切だと話しておられました。