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NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

沖縄武者修行2025  報告ver3

沖縄に関する報告もこれが最後です!!

【午後】

社会医療法人仁愛会 浦添総合病院

三次救急指定病院/病床数334床/所在地:沖縄県浦添市

2日目の午後は、浦添総合病院を訪問しました。新設されて間もない新しい建物で、内部は開放感にあふれていました。三次救急の機能を担う県内有数の医療機関であり、沖縄本島や離島などからも幅広く救急受け入れを行っているそうです。

初期研修医の先生方の教育回診に参加させていただき、今回のテーマ症例は「50歳女性の、数週間持続する咽頭痛」でした。グループごとに鑑別疾患や行うべき診察と検査を考え出し、講師の徳田安春先生とともに、白熱したディスカッションが繰り広げられていました。

どの研修医の先生も、一つの症状から非常に多くの鑑別疾患を想起し、診察も精度高く行っており、大変驚きました。その背景として、沖縄県では8つの医療機関が群星(むりぶし)臨床研修プロジェクトに所属しており、各病院で研修する研修医は毎月2回、徳田先生主催の教育回診に参加することで、診断学を始めとした臨床医学のトレーニングを受けているとのことでした。

研修医の先生たちも初めはほとんど鑑別疾患を思いつかないそうですが、1年経つころにはスラスラと列挙できるようになり、そして実力をつけた研修医が2年目になると、今度は新しく入ってきた1年目の研修医に教える、といった屋根瓦方式を取ることで、強固な教育基盤と文化を築いているそうです。高い診療能力を育むには、個人の能力もさながら、各人が自発的に学び、繰り返しフィードバックを受けることができる仕組みが必要なのだと感じました。

<2日間の研修を終えて>

今回沖縄県の4つの臨床研修病院を見学させてもらい、その中で、以下のようなことを感じました。

・研修医間の仲が大変良く、自発的にのびのび学び、そして仲間同士で学びを共有し合っている。

・指導医だけでなく、コメディカルも含めた病院全体で研修医を育てる文化がある。

・医療機関の垣根を超えて、組織横断的に研修医を育てる仕組みが整えられている。

今回の訪問視察でたくさんの学びがありました。その中のいくつかは、今後の日々の診療でも実践していきたいと思います。

また、自分自身の慣れた環境から一旦離れ、他の医療機関のシステムや文化を学ぶことの重要性も強く感じました。今回参加させていただいた「沖縄武者修行」プロジェクトが、今後も島根県で多くの総合診療医を育てることを願っています。

今回私の訪問に際して現地でお世話になった、徳田安春先生、群星臨床研修センターの宮里さん、久野さん、新垣さん、そして総合診療医センター坂口先生、今岡さん、キタザワさん、本当にありがとうございました。

文責:邉田健一