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NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

【医学生が筆頭著者に挑戦!】論文報告!~総合診療の領域別研究特性から見えたこと~ 

名前: 竹内啓悟(医学部6年)

1.はじめに:研究を始めたきっかけ

 センターが提供するDコースにおいて、和足先生から、総合診療内の研究傾向を調べる研究のお誘いがありました。「総合診療って何?総合内科や家庭医療と何が違うの?」という友人の疑問に答えられず悩んでいた私は、自分の臨床疑問に向き合える機会だと考え参加しました。慣れない作業の連続でしたが、学生のうちに論文を完成させるという目標を達成でき嬉しいです。

2.研究テーマの紹介

 本研究のタイトルは「総合診療の研究動向:総合診療トップジャーナル3誌の領域別計量書誌学的分析」です。総合内科・病院総合診療・家庭医療の3領域について、各トップジャーナルに1年間に掲載された原著論文717本を集め、研究テーマを7つのカテゴリーに分類しました。一言で言うと「総合診療の3つの分野が、どんなテーマの研究にどれくらい取り組んでいるか可視化した研究」です。

3.この研究で分かった最も重要な「発見」

 研究テーマの内訳を見ると、総合内科では「公衆衛生・予防医学・疫学」、病院総合診療では「医療の質・安全」が最多で、家庭医療では複数のテーマが比較的均等に分布していました。総合内科は「臨床研究」、家庭医療は「医療サービス」が中心かと予想していたためこの結果は意外でした。本研究を通じて、予防介入・医療安全・包括的ケアという臨床上の役割の違いが、研究特性の違いとして可視化されました。

4.私の研究体験記:論文執筆のリアル(後輩へのメッセージ)

 研究手法も執筆の流れも馴染みがなく、「先生方の話が理解できない」という壁に当たりました。方針もわからないままに翻訳ありきで大量の英語論文を読むうちに、モチベも低下してしまいました。そこで対面で相談する時間を何度も設けていただき、疑問を言語化しながら「今、自分は何をすべきか」を整理して、共通認識を構築しました。これを通じて、論文化の流れや論理的思考といったスキルに加え、「行き詰まったときには原因を言葉にして、直接チームに相談する」姿勢の大切さを学べました。

5.おわりに:今後の抱負と感謝

 来年度から私は、学術研究に力を入れた病院で初期研修を始めます。今回の論文執筆を足掛かりに新たなテーマにも挑戦し、将来は学位取得を目指したいと考えています。ご指導くださった坂口公太先生・和足孝之先生、共同研究者の上西凜太郎さん、本当にありがとうございました。本論文はCureus Journal of Medical Scienceに掲載予定です。