地域だけではない、大学だけでもない、持続可能な成長をし続けるための総合診療ニューラルネットワーク

NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

2021年度島根県総合診療県内合同オリエンテーション開催報告

1.日時

2021年5月29日(土曜日) 13:45開場,14:00~18:30

2.主催

島根県総合診療専門医育成ネットワークとしまね総合診療センターとの共同開催

3.開催形式

対面とZoomを使用したweb参加のハイブリット方式.

対面会場:ビッグハート出雲・茶のスタジオ(住所:〒693-0008 島根県出雲市駅南町1丁目5 電話:0853-20-2888)

参加者は会場入室前にアルコール手指衛生を実施し,受付にて体温測定を実施した.

企画中常時マスク着用,会場内での飲食禁止(飲食は会場外で距離を空ける)をルールとして企画を実施した.

4.参加者

対面:新規専攻医:3名(内藤,森江,吉村),チーフレジデント:4名,指導医:11名,オブザーバー:1名

web:22名(内,新規専攻医2名:天野,毛利)

5.タイムテーブル

13:45 開場・受付

14:00-14:10 開会式:挨拶,趣旨説明

14:10-14:20 新専攻医自己紹介

14:20-14:50 記念講演「これから総合診療を始める君たちへ」

14:50-15:30 先輩専攻医に学べ!研修サバイバル術

15:30-15:50 休憩

15:50-17:20 家庭医療集中授業「患者中心の医療技法」

17:20-17:40 振り返り

17:40-18:10 閉会式:チーフレジデント任命式,挨拶

18:30 撤収

6.コンテンツ

6-1.記念講演「これから総合診療を始める君たちへ」

講師:白石吉彦先生(しまね総合診療センターセンター長・教授)

白石吉彦先生

新たに総合診療専門研修を開始する専攻医に対する訓示的な内容として,総合診療に従事する上での心構えなどを中心に語って頂いた.白石先生自身の学生時代の様々な経験から総合診療に興味を持つに至った経験,よくある疾患を普通に診ることが総合診療の役割である事,目の前の患者さんに最善を尽くすために良いと思われる事はどんどん行っていく事,島根県内各地に総合診療・家庭医療の仲間が存在しており総合診療は今大きなうねりが来ている事などを語って頂き,新専攻医への激励のメッセージを頂いた.

6-2.「先輩研修医に学べ!研修サバイバル術」

講師:坂口公太先生(雲南市立病院総合診療専門研修プログラム3年目専攻医)

坂口公太先生

 坂口先生がこれまで総合診療専門研修プログラムの中でどんなローテートを行い,ローテート先での学び,葛藤を赤裸々に語って頂いた.その中で,研修中にも不満や葛藤を生じる事はあると思われるが「ダークサイド」に陥らないために仲間と相談できる事の重要さ,「人・本・旅」の大切さについて語った.また,研修中の必須課題(経験疾患,ローテート,経験省察研修録,講習,学会発表,論文など)についても説明を行った.

6-3.家庭医療集中授業「患者中心の医療技法」

講師:高橋賢史(出雲家庭医療学センター 出雲市民病院家庭医療科)

高橋賢史

 家庭医療学のコア理論に関する集中授業の1つとして患者中心の医療技法についてセッションを行った.理論についてレクチャーを行い,架空の症例を元にしたディスカッションを行った.

事例は頭痛を主訴に救急外来を受診した52才男性とし,典型的な緊張性頭痛症状ではあるが頭部CTを希望する,というケース.会場を3つのグループに分け,web参加者もZoomのブレークアウトルーム機能を用いてwebグループディスカッションを行った.患者の背景を自由に想像し,全体発表を行った.「中間管理職で仕事のストレスがある」「父親をクモ膜下出血で亡くしている」「独身だが結婚を考えている年の離れたパートナーがいる」「婿養子で家庭内での発言力は弱く,発言力の強い妻より病院受診を強く言われた」「同級生がクモ膜下出血で亡くなり心配になった」「星野源の結婚ニュースから,過去にクモ膜下出血歴があると知り心配になった」など各グループとも自由に患者背景を想像した.

 その後,上記患者へ実際の診療場面でどうアプローチするかを実演した.実演者は内藤先生(県中専攻医),毛利先生(雲南専攻医),小川先生(隠岐病院チーフレジデント)の3名で,各5分間で実演した.

 最後に事例の背景を紹介しまとめとした.

6-4.開会式,閉会式

開会式にて島根県総合診療専門医育成ネットワーク世話人代表で,島根県健康福祉部医療統括官の谷口栄作先生より開会の挨拶を頂いた.高橋よりタイムテーブルとグランドルールの説明を行った.

閉会式にて,チーフレジデント4名,研修コンサルタント1名の任命式を行った.しまね総合診療センターセンター長・教授の白石吉彦先生より閉会の挨拶を頂いた。

7.総括

 島根県総合診療専門医育成ネットワークとしまね総合診療センターとの共催による今年度初めての企画となった.新規専攻医も対面参加とweb参加で5名が出席し,全体で40名を超える参加者規模となった.新規専攻医とプログラム内外のチーフレジデント・指導医とのつながりが強化され,島根県全体で総合診療専攻医の教育を行っていく手応えが感じられるものとなった。

 用意した各教育コンテンツも,参加者の興味関心を大きく刺激する内容であった.振り返りレポートを俯瞰するに,専攻医たちの学習意欲を向上させたと考えられる.会場とwebのハイブリッド形式は,通信環境の課題もあったがZoom操作を担当した上野先生のおかげで比較的スムースに行えたと言える。