地域だけではない、大学だけでもない、持続可能な成長をし続けるための総合診療ニューラルネットワーク

NEURAL GP network 島根県発・総合診療医養成プロジェクト

【樋口大先生】自分の前に来てくれた全ての患者さんを幸せにしたい

1.どうして総合医になったのですか?

 私を支えている強い思いが2つあり、これが私が総合医になる支えになりました。

 1つ目は、一人の「医者」として私の前に来てくれた全ての患者さんを幸せにしたい、という思いです。自分が成長すればするほど、患者さんに提供できる医療は向上していく、と思っています。この思いは、地域にいたときも、現在いる島根県立中央病院でも変わりません。

 2つ目は、島根県全土で頑張っている地域の医者と連携を取り、島根県全体の医療の向上に寄与したい、という思いです。その結果として、自分が島根の高次医療機関で救急に携わることの重要性が見えてきました。

 この2つの思いを追い求めていたら、救命救急科で重症患者の全身管理をしながら、島根の僻地を知る医者としてドクターヘリで地域に出向き、総合医として総合診療科に携わる、という現在の勤務スタイルにつながりました。

樋口先生が地域と繋がる方法

2. 現在の働き方について教えてください。

 基本は救急救命科に所属し、フライトドクター業務、救急外来やICU*で勤務し、重症患者さんの診療を行っています。また、地域から当院に搬送となる患者さんの地域との連携も、大事な役割だと思っています。これには、地域での勤務経験や、総合医ネットワークが役立っています。

 週2回は総合診療科で診療をしており、あらゆる愁訴に悩む患者さんの島根県の最後の砦、という気持ちで診療を行っています。他科や他院から紹介を受け、診断困難な患者さんに対応することには非常にやりがいを感じます。また、救命救急科を退院した後に外来フォローアップが必要な患者さんの継続診療の場にもなっています。

 感染症診療も当院で専門的に学び、各科と連携して感染対策にあたっています。2020年からは新型コロナウイルス対策に携わり、最近では新型コロナワクチン普及に向けた院外活動も行っています。

 

 *ICU: Intensive care unit

3. 医学部を目指したきっかけ

 特に進路のことを深く考えずに高校生活を送っていた私が、初めて医学部に行くことを意識したのは、高校2年生のときでした。高校の先生の勧めの影響が大きかったと思います。進学先として自治医科大学を選んだのも、高校の先生の勧めでした。医学部進学後はラグビーに明け暮れ、生涯最高に愛するスポーツになりました。

略歴:

松江市出身

2007年3月 自治医科大学卒業

2007年4月~2009年3月 島根県立中央病院で初期臨床研修

2009年3月〜2011年11月 公立邑智病院 内科

2011年12月~2012年3月 島根県立中央病院 総合診療科

2012年4月〜2014年3月 飯南町立飯南病院 内科

2014年4月~2017年3月 隠岐広域連合立隠岐病院 内科

2017年4月〜2018年3月 島根県立中央病院 総合診療科

2018年4月〜 島根県立中央病院 救命救急科

4. モットー

 自分の前に来てくれた全ての患者さんを幸せにしたい

 ドクヘリに乗る家庭医療専門医、ICUにいる総合内科専門医、地域に出向く感染症専門医

【取材者より】

 樋口先生には、地域から医療相談を頻回に行い、連携させていただいています。
今回、先生が、地域と連携するモチベーションについてお話を伺え、嬉しく思います。

遠藤健史