波多野拓也先生【やれることは、やる!】
1:なぜ総合診療医に?
私は邑智郡出身で、将来は出身地に帰って勤務をしたいと思っていました。そのためには、患者さんの健康問題全体に対応できる能力が必要です。島根大学を卒業し、島根県立中央病院で初期臨床研修医(以下、研修医)として勤務しました。ここで一通り学びましたが、まだ全ての患者さんに対応するということは難しく感じていました。そこで、同院の救急医からお誘いを受け、3年目は救命救急科(高度救命センター?)で研修しました。ここで、救急搬送患者さんの状態を、素早く把握し治療につなげることや、ICU*1に入室された重症な方の全身管理を行う中で、自信をつけてきました。ただ、一方で、長期的に関わり続ける難しさを、より一層感じるようになりました。
2:益田赤十字病院(以下、益田日赤)、総合診療科 2020年4月〜2021年12月現在
益田日赤、総合診療科の岡本栄祐先生にお誘いを受け、4年目から勤務することとなりました。ここで地域と患者さん全体を診ることを学び、岡本先生が一人で支えていた総合診療科の発展に貢献してみたいと一念発起しました。また、出身地の邑智郡と似たような山間地から近い環境で、共通する医療を学び、将来の働き方に繋げられるという期待もありました。
当科は岡本先生とチーフとして、研修医の指導に当たります。1-2年目あわせて10名強の教育を行い、共に学び合い、現場体制の改善を行っていきます。研修医が担当した患者さんのリアルタイム相談を受けること、時間を置いて振り返りを行います。私が主担当で救急外来対応する時間は、研修医が主戦力となり、その力が発揮できるよう、そして医療事故につながらないよう全体をマネージメントする役が求められます。
またAST*2を開始し、全病棟の治療困難な感染症への対策サポートを岡本先生と共に行っております。これにより、病院全体の診療のあり方、業務の問題点を把握できます。
写真:ASTの1シーン
こうした救急外来と全病棟のマネージメントの役は、島根県中では担えない大役であり、益田日赤は、若手医師が学ぶには非常に良い環境だと思います。
*1 ICU: Intensive Care Unit
*2 AST: Antimicrobial Stewardship Team 抗菌薬適正使用支援チーム
3:島根大学にいたときの思い出を教えてください
大学時代は部活かお酒に飲まれることしかしていなかったです。野球部で活動していた時は器用貧乏だったこともあり、やってくれと言われればどのポジションでもやっていました。その時々与えられたポジションで『できることはやる』、できなければできるように努力することを続けていました。それが今も続き、「来てほしい」、「やってほしい」と言われればとりあえずYESと言ってしまいます。そして引き受けた苦労を乗り越えて行きついたのは『笑顔を絶やさない』という信条です。
4:モットー
やれることは、やる
5:後輩よりコメント
益田日赤、研修医、尾崎雄大先生
「もともと、総合診療に興味はあったのですが、それで益田日赤を選んだわけではありません。ただ。来てみたら、素晴らしいアニキがいたので、総合診療科ローテーションを1ヶ月から2ヶ月に伸ばして、学ばせていただいています」
町立奥出雲病院 重栖慎典先生
「波多野先生は、常に明るく、前向きで、その姿勢を見習いたいです」
5:私の1週間
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
午前 | 病棟業務 | 外来 | 救急外来 | 検査 | 外来 |
RRS* | ・内視鏡、エコーなど | ||||
午後 | 病棟業務 | 病棟業務 | 救急外来 | 検査 | 病棟業務 |
カンファレンス | RRS* | カンファレンス | |||
AST* | MSW・看護師らと会議 | ||||
毎日8:00~、17:00~:コロナ病棟カンファレンス | |||||
第2週火曜日:RSS会議 | |||||
RRS: Rapid Response System, AST: Antimicrobial Stewardship Team, MSW: Medical Social Worker |
4:写真+ひとこと
医師3年目にアメリカのコロラド州デンバーで開催された集中治療学会に参加した時の写真です。この時感じたのは自分は小さな世界で生きているなって事と氷点下10℃でもユニクロのダウンは戦えるということです。
【経歴】
2017年、島根大学医学部卒業、島根県立中央病院 初期臨床研修医
2019年、島根県立中央病院 救急救命科
2020年〜現在 益田赤十字病院 総合診療科
【GP life】何か私生活で書きたいことあれば
益田市在住 病院にいることが多いですが、家のほうが好きです。最近築20年の官舎から築2年のアパートへ引っ越しをしました。きれいな家はやっぱりいいですね!運動不足改善のための一人でも楽しく続けられるスポーツ欲しています。教えてください。
【取材者より】
波多野先生は、医師5年目にして、救急外来から病棟マネジメント、若手教育まで幅広く活動されています。自然にそこにいる、という形でどこにでも出現し、相談を受け全体を指揮する姿はサーバントリーダーの鏡だと感じました。指導者の岡本先生も「自慢のうちの子」に鼻高々なご様子でした。